チームワークとは |
「個人あってのチーム。それぞれが責任を果たしてこそ、チームとして機能する」とは、メジ ャー・リーガーのイチロー選手の言葉です。 ここ数年とくに、PMBOKなど体系的なプロジェクトマネジメントの仕組みを導入し、プロジェ クト運営を確実に行い、高いパフォーマンスをあげようとする機運が高まっています。 そこではいろいろなプロセスの整備が必要であるということは皆様も既にご存知のことと思 います。一方で、プロジェクトをうまく進めるためにはプロセスを整備するだけではいけないと いうことも、周知のことであると思います。結局のところ、どのような仕組みがあろうと、どのよ うなツールを使おうと、プロジェクトは人間が推進するものです。ですから、チーム・ビルディン グやチーム・ワークがプロジェクト運営にとって重要なポイントであると言えます。 さて、チーム・ワークとはどのようなものでしょうか。少し考えてみたいと思います。 プロジェクトとは、「独自の成果物またはサービスを創出するという目的達成にむけての有 期的活動であり、制約条件のもと問題解決を行う活動である」と言えます。従って、プロジェク トにおけるチームとは、ある目的を達成するために集められた人たちの集団と言うことができ るのではないでしょうか。 では、プロジェクトに必要な要員を集めるとき、どのように考えていくでしょうか。 まず、「このプロジェクトでどういう結果(成果)が出たら良いか」を考えますよね。以下、下記 のように考えていきます。 ■その結果(成果)を得るためにどういう手順を踏み、各段階でどのような作業をする必要 があるかを考える ■合わせて、各ステップで作成される中間成果物は何かを考える ■次はその作業を遂行し結果を出すために必要な役割や体制を考える ■各々の作業にはどのようなスキルが必要で、そこで使用する技術、ツールは何かも合わ せて考える ■役割・体制およびスキル等が明確になったら、実際に誰をアサインするかを考える 実際に”誰を”ということろまでくると、必要な体制と現実とのギャップが浮き彫りになるので すが、それは少し置いておきます。要するに、目的達成のための手順や成果物などから必要 な役割、体制が見えてきて、そこで求められる技術、知識などが明確になります。その要員面 で「必要なもの」を「チーム」という形で集めるのです。 そう考えると、チームは様々なスキルを持った個人が集まって成り立っていると言えます。 集められた各個人には一人一人に役割・責任があります。「お互いの不足を補うもの」「お互 い助け合うこと」というのが一般的に聞かれるチームワークの定義ですが、それは少々消極 的な解釈であるように感じます。 さぁ、ここでイチロー選手の言葉を思い出してみましょう。 「個人あってのチーム。それぞれが責任を果たしてこそ、チームとして機能する」 プロジェクト遂行に必要な役割・責任を果たすために一人一人が集められたわけですから、 各人が自分の能力を遺憾なく発揮し、自分に与えられた役割・責任を果たすことがチームワ ークの第一歩であると言えます。 もう一つ考えたいことは、各人が自分に与えられた役割・責任だけを果たせば、チームとし て、そしてプロジェクトとしてうまくいくのか、ということです。 皆さんお分かりの通り、答えは”否”です。個人の範囲で完結するのであれば、プロジェク トはなんと楽なことでしょう。プロジェクト推進の中で最も重要なものの一つはコミュニケーショ ンです。様々な状況の変化に対して情報を交換し合い、計画や進め方を見直しながら推進し て初めてプロジェクト・チームは目的地にたどり着くことができるのです。そういう意味で、「協 力する」ということが非常に重要になってきます。 「協力する」ためには何が必要でしょうか。まず、プロジェクトが目指す目的・目標を全員で 共有していることが必要ですね。 チーム全体としては「目的の共有」を図り、メンバーが活動しやすい状況を作り出す。そして 各個人においては、スキルアップを常に行い、高いパフォーマンスを発揮して役割・責任を果 たす。そういうことがプロジェクト・チームには必要であり、チーム・ワークの正しい姿だと思い ます。 自分がSEであったときに最も恐れかつ気をつけていたことは、「バグを出す」ことではなく、 「自分の能力の限界がシステムの限界を決めてしまう」とうことです。一人一人の行う仕事の 成果は、その人の能力によるのです。だからと言って、レベルの低い成果でも仕方が無いと 言うわけにはいきません。プロジェクトとして必要な能力を持っている人を集め、相乗効果で 高いパフォーマンスを発揮しなければ、よりよいシステム構築はできないのです。 未熟な人、能力が無い人はいらない、というお話では決してありません。一人一人には各人 の持ち味があって、「いらない人」などいないのです。「実際に”誰を”ということろまでくると、必 要な体制と現実とのギャップが浮き彫りになる」と上述しましたが、ギャップがあるのは当然の ことですので、そのギャップをどう埋めていくかということが重要なのです。 繰り返しになりますが、個人には自分のスキルを継続的に高めることや新たな分野にチャレ ンジしていくことが求められますし、組織としてはそれらを促すような、そして全員が「協力する」 ということに価値を見出すことができるような、そんな環境作りをする必要があります。 チームワークとは、そういう環境の中で自律した強い個人が協力し合い、自分の力を最大限 に発揮してより高いパフォーマンスを目指すことであると言えるのではないでしょうか。 |
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