事故とマネジメントシステム |
サービスの質、”もの”の質に関係する仕事をしていると、エレベータ事故や湯沸し器事故な どのニュースが非常に気になります。 事故は様々な形で数多く起きているのですが、同じことが繰り返されてしまいます。 「どうして学ばないのか」と思ってしまいますが、所詮他人事であり、自分たちが痛い目を見 なければ学ぶことはできないということでしょうか。 それとも、「自分たちは間違わない」とか「自分たちはちゃんとできている」と、そう思うのでし ょうか。 もし、「そんなことになるとは思わなかった」と、何か問題が起きてからそう感じるとすれば、 問題を起こした組織の人たちに「想像力」が欠けていると言わざるを得ません。 私はISO9001やISMS等マネジメントシステム構築のお手伝いをすることがあり、その仕事を する中で感じることですが、「しくみ」を作ってもそれだけでは良くなることはありません。 なぜなら、マネジメントシステムは人が運営するからです。 作るだけ作って置いておけば、自動的にサービスやものの「質」がキープされたり、向上す るとういうことはありません。 しかし、多くの組織では「○○認証取得」という看板を掲げて安心してしまい、形だけのマネ ジメントシステムの運営となると無関心になってしまいがちです。 マネジメントシステムにおいてまず大切なのは、何のために「質」を維持し向上させるのか、 何のためのマネジメントシステムなのかということをはっきりさせることです。そして、何が何 でもその理念を現実化させるのだという強い気持ちがなければなりません。 以下に私が考えるマネジメントシステムの態勢図を示します。 ![]() まずビジョンがあり、それを現実化するための実行プロセスが策定されます(実行プロセス には、関連するプロセス全てが含まれていると考えてください)。 その実行プロセスはしっかりと監視され、必要に応じて改善されなければなりません。 これらのプロセスは、人や諸々のプロセス、その他ツール等のインフラによって支えられて います。 エレベータにしても湯沸し器にしても、人の命に関わるところが多いものですから、そういう ことを理念の一番に据えた上で、ビジネスのことを考えて欲しいと思います。 商品やサービスの不具合が直接人命に関わることのない組織においても、お客様あっての 組織であり、社会の一員としての組織であることを、まず一番に考えて欲しいと思います。 マネジメントシステムとは、ISO9001やISMSだけのものではありませんし、そういうものの認 証取得をしなくても、組織運営の仕組みとして当たり前のものだと思います。 組織運営の理念をはっきりさせて、全員でそれを共有し、全員でマネジメントシステムを動 かしていく。そして、「想像力」を働かせてリスクを識別し、監視や改善のしくみに織り込んで いく。 そうすることで、一つでも事故を無くし、誠意ある対応を行うことを実現して欲しいと願って止 みません。 |
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